想伝Labo (12/22改名)

さくっと読める文字数で小説を書き留めていきます。

あの日 #25

 

 

 

 

 

 

父「え・・・?

 

  そんなはずはない」

 

 「私は"(ろく)"を有してから、ずっとこの数字が"変わる"ことはなかった。」

 

 「それにこの間は、いつもより波動が扱いづらくて、

 

  体調が優れないから護符を使った。

 

  気力が奪われすぎたくらいなんだ。」

 

 

"弐"の爺「その反応が、数字が変化した証拠だよ。

 

    これまでよりも自分の波動を、気力を、より封じに持っていかれる。

 

    鍛錬(たんれん)の求められる基準が上がってるんだ。」

 

 

 

"壱"の女「封じの結界を作りだす者として、

 

    あんたに求められる基準が変わったんだ。

 

    その力を有しているから。

 

    あんたには可能であると、お(かみ)が認めたからだよ。」

 

 

 

呆れたような、悲しげでもあるような表情を浮かべながら

 

 「何故この兆候(ちょうこう)に気づけない・・・」

 

 「いや知らなんだのか・・・」

 

 「哀れよのう・・・」

 

と各々が口にした。

 

 

 

 

 

父「そんな・・・」

 

 

彼らに伝えられた事実に、だんだんと青ざめていく父の顔に、

 

 

 

とても悲しく、やるせない気持ちが溢れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

の友を、

 

 

そして友の両親である、里を護ってくれていた方々を・・・。

 

 

 

犠牲に・・・

 

 

危機に・・・

 

 

 

さらしてしまったのが・・・

 

 

 

 

の父だったなんて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きを読む

あの日 #24

 

 

 

 

にとってもよくわからない展開に、

ただ戸惑っていた中、父はよりもさらに動揺していた。

 

 

 

 

父「よくわからん言いがかりだ。

 

  ここへ残れと・・・?息子が何か事を大きくしたのなら、

 

  申し訳なく思うが・・・見たらわかるだろう?

 

  首元の数字も、なにより息子はこんな傷を、負っているんだ。」

 

 

 

参の男「何言ってるんだ・・・?あんた」

 

 

 

弐の爺「じゃあ何故に、ここへ連れてこられたと思っているんだい?」

 

 

 

父「帰りが遅い息子を連れ帰りに来ただけだ。」

 

 

 

参の男「はぁ?!」

 

 

 

 

「父さん・・・まさ」

 

参の男「まさか・・・見えていないのか?」

 

 

父「さっきから何なんだいったい?

 

  封じの儀で我々は、日頃ギリギリの状態になるまで

 

  気力を奪われることに協力している。それで十分だろう。

 

  結界の綻びがどうの・・・"陸"である私たちには関係がないだろう!!」

 

 

壱の女「やっぱり・・・。」

 

 

「父さん・・!!」

 

 

 

 

壱の女「おっさん。見えなくなってるね。

 

    あんたの有している数字(力)も、

 

    息子の数字(力)も。」

 

 

 

 

 

 

 

 

続きを読む

あの日 #23

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

僕達の里だ・・・?

 

 

 

 

 

そんな・・・

 

 

 

 

 

 

まさか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"(いち)"の女「あぁ。あの里の"()"番以上だね。あたしが思うに。

 

 

    魔の物がこの方向へ向ったってのと、

 

 

    この結界の欠けの大きさからして。」

 

 

 

 

 

そして、の里の数字を有した人間が集められた。

 

 

 

 

 

 

その中には、の父もいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

続きを読む

あの日 #22

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りをきょろきょろと見まわし、立ち上がろうとした時

 

 

 

 

 

 

 

男 「おい。

 

 「聞いているのか?

 

 「この状況は何だと聞いている!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は、投げかけられる問いに答えている場合ではない。

 

 

 

 

 

 

「僕の・・・友が・・・

 

  (たたか)っていたんです!

 

  彼はどこに・・・?」

 

 

 

 

 

男「まずはこちらの問いに答えないか!

 

   なぜこのような状況に?

 

   どうして君があんな無茶を?」

 

 

 

 

の友は?ここで(たたか)っていたんです!

 

 

 

 「まさにこの場所で・・・

 

  いったいどこへ・・・」

 

 

見知らぬ大人達の問いに答える余裕などなく
しっかりと目を凝らして、辺りを見回す。

 

 

爺「話にならん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女「もう一人のガキんちょならこっちだよ。

 

  落ち着きな。」

 

 

  「だいぶ瘴気(しょうき)に当てられてる。

 

   こんな状態で・・・よく立って居られてもんだよ」

 

 

  「"(いち)"の血族とはいえ、本人は未だ"()"にすら成りかけの状態なのに」

 

 

 

 

男「それで?この状況は!」

 

 

 

 

女「大体理解できたよ、あんたも落ち着きなって。」

 

 

 

 

爺「どうゆうことだ?」

 

 

 

 

女「この辺りが担っている結界の範囲に入った時、

 

  何か違和感を感じなかったかい?」

 

 

 

 

男「違和感?それは魔の物の瘴気ではないのか?」

 

 

女「違う。結界の〝(ほころ)び″だよ。」

 

 

 

女「自分達自身の波動で作り出している結界特有の、

 

  あたしたちには軽く感じるはずの空気が、少し重く感じたんだ。

 

  ここは(にぶ)ってるってね。」

 

 

 

 

爺「なるほど・・・」

 

 

 

 

女「この里の〝(いち)″の家と、近くの里も見に行こう。

 

  原因はそこらだね」

 

 

 

 

 

続きを読む