あの日 #13 陸side
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え・・・?
それは・・・
なんだかもう、
その言い方はまるで・・・・。
「・・・時間稼ぎくらいには・・」
なんていう彼の言葉に、
考えたくない、
理解したくない、
たどり着きたくない答えが
僕の中に浮かんでしまったのをすぐにかき消した。
僕「そんな・・・君はまだ戦闘に参加したことは
ないじゃないか!ここは逃げよう!!
きっと力を有する他のお方を呼ぶ呪詛を
飛ばしているはずだ!!大丈夫だ!!」
「いや・・・。呪詛を飛ばす隙がなくて・・・
呼べていないんだ。」
僕はまだ彼が、実際の戦闘の場に
立たせてもらったことがない事を
知っていた。
僕「じゃあ君が呪詛を・・」
「出来ないんだ!!僕にはまだ・・・。」
そう悔しそうに答えた彼に
先程の言葉の意味が僕の頭の中にちらつく。
僕「そんな・・・。
でも・・・・・里まではまだ大分距離がある!
きっと魔の物が里へたどり着く前に、誰か・・・」
縋りつきたい〝誰か″という救世主のような存在を、
探し出そうと考えてみても
「誰かって?」
と問われてしまう。
僕「え・・・と、そうだ!!
〝弐″のお方を呼びに行こう!!」
我ながら名案が浮かんだと思った。
けれど、彼は狼狽えそうになる自身を
きちんと制しながらにこう返す。
「そんな事をしている間に、里の者がもし
魔の物に出くわしでもしたら?
彼らはこんな距離で、ほんの少し瘴気に当てられただけで
呼吸すらできなくなるっていうのに!!!」
「とにかく弟たちだけなんとか頼む。
念のため、この方向とは別の里へ頼みたい。
さっき、瘴気に当てられた里の者がいたんだ。
彼はまだそう遠くへは行けていないだろうから。」
「・・・行ってくれ!!!!」
どうにか、
考えたくない事は考えず、
ひたすらに思いつく限りの事を言ってみたけれど
この状況を救ってくれる、‟誰か”なんていう存在は
彼の中ではとっくに想像し尽くされていたのだろう。
彼はもう、
現実から目をそらすことなく、
自分のすべきことを理解していて、
この期に及んで
ジタバタしているのは
僕だけだった。
「時間がないんだ・・・」
彼の言葉に、
無理やりにでも考えることをやめなければと思った。
僕は自分の出来うる事、
僕に託された事をやるだけだ。
僕「・・・わかった。行こう」
弟妹「にいちゃん・・・。」
「大丈夫だ。また後で、迎えに行くから。
今は言うことを聞いてくれ。な?」
弟「絶対だよ?」
「あぁ。約束の印に、
二人に呪詛で作った首飾りをつけてある。
兄さんが迎えに行ったとき、
二人がどこにいるかすぐにわかるようにな。」
妹「このお花柄の模様は、にぃちゃんとの
約束のしるしなんだね!」
「そうだ。これがあればすぐに会える。ちょっとの辛抱だ。」
弟妹「「わかった。」」
彼ら兄妹の会話を見守った後、
「それじゃ・・・。」
彼と顔を見合わせ、
互いに頷き
僕は彼の兄妹を背負い
全速力で走りだした。
続・・・・・・
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*あとがき**
2022年を迎えました。
未だ感染症は落ち着きませんね。
これまでも、そして今日も、誰かの為に尽くしてくれている
人たちがいます。
そんな想像をし、行動にし、感謝を伝えていきたいと思います。
そして今年は、この物語の更新ペースを上げるため
プロローグ編を早いとこ編集を終えていきたいと思います。
この頃、毎日朝はお餅を入れた雑煮を食べているせいか
胃が活発になり食欲が増して限界を知りません・・・。
ご自愛していきましょう。